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日記・コラム・つぶやき

2015年1月17日 (土)

敦煌再訪

去年の年末、再び敦煌莫高窟で調査をしました。

何人かの敦煌学研究者たちのチームで毎年行っている、年末恒例となりつつある調査旅行なのですが、今回は参加者も最多でした。
調査のターゲットは、莫高窟を始めとする石窟寺院に描かれた寄進者の絵や、参拝者の残した落書きです。それらを調査することによって、敦煌地域の多言語文化の様相を浮き彫りにしようというのが狙いです。実際、漢語だけではなくウイグル語、モンゴル語、西夏語、チベット語を始めとして、様々な時代の様々な言葉・文字の落書きが残っています。パスパ文字やシリア文字、ブラーフミー文字、アラビア文字なんかもあったりします。
チームは各言語の専門家の混成部隊です。各自の専門言語・関心に従って調査をしますから、窟に入ると蜘蛛の子を散らすようにバラバラの方に向かい、一心不乱に落書きを探したり壁画に貼り付いてスケッチをしています。何年も調査をしていますから、各自が自分の仕事を心得ていて、傍からみているとなかなかの壮観です。
私が見ているのはチベット語の文です。大抵の場合は参拝者の落書きなのですが、時々石窟を修理した人の重要な書き込みがあったりして油断は出来ません。ところが面白いのは、それらチベット語の落書きは、書き手がチベット人ではないのです。書き手はどうやら漢人やウイグル人、西夏人などで、彼らがチベット語を使って落書きをしているのですね。では、そのような傾向にはどんな歴史的背景にあるのか、その他の叙述史料や文書史料と組み合わせて、探っていく必要があります。
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2014年9月27日 (土)

ラサ〜サムイェ〜ツェタン

7年ぶりにラサに行きました。

去年夏に青海に行ったチームと共にです。ラサからサムイェ、ツェタンとまわって、計10日ほどの滞在でしたが、多くの成果を得ることができて充実した調査旅行でした。
現在はポタラ宮の前に建つ通称ショル碑文がかつてあったとされる墓を、曖昧な情報を元に探し当てたり、雷雨に怯えつつもツェンポの墓群を調査したり、最後にチベット人発祥とされる洞窟を目指し3時間以上の登山を敢行したりと、盛りだくさんでした。
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ただ個人的には色々とやらかしてしまって、ちょっと反省もしています。のっけから寝
坊してあやうく飛行機に乗り遅れそうになったり、ラサに到着したらはしゃいだあげく
気分が悪くなって、盛大にリバースしたりと、分別盛りの大人とは思えない行動を繰り返してしまいました。しかし同行メンバーも強者揃いで、私のリバース事件も後に爆笑エピソードとして片付けられたので、まあ良しとしましょう。

2014年7月29日 (火)

西域出土古藏语田籍初探

2012年に英語で書いた小文が中国語に翻訳されたことを、ひょんなことから知りました。

Iwao, Kazushi. 2012. “Preliminary Study on the Old Tibetan Land Registries from Central Asia.” In 新疆吐魯番学研究院(編) 『語言背後的歴史:西域古典語言学高峰論壇論文集』上海: 上海古籍出版社, pp. 175–182.

http://oversea.cnki.net/Kcms/detail/detail.aspx?filename=XAYJ201402012&dbcode=CJFD&dbname=CJFDTEMP
小文をわざわざ選んで翻訳くださったことは嬉しいのですが、翻訳前か後でも一言連絡をいただけたらさらによかった。いずれにせよ、翻訳くださった先生方に御礼申し上げます。

2014年6月29日 (日)

academia.edu

academia.eduというアカデミックSNS(?)があって、そこに自分の書いたものをアップしたり他の人がアップした論文を読んだりしています。これはかなり便利なサイトで、研究者の方にはお薦めです。

当初は他の人の論文を読みたく思って気軽に登録しただけなのですが、そのうちacademia.eduを経由して僕の仕事内容を知ったという方が声をかけてくださるようなことが何度かありました。また、おかげで海外の学会から呼んでいただくようなことが最近ありました。このサイトによって研究者同士の交流や論文の交換がよりオープンに簡単になったことを実感しています。

利用方法はとても簡単です。名前とemailを入れ、パスワードを設定するだけ。後は自分の所属研究機関を登録すればそれで自分のページが出来上がります。

その後は、知り合いや注目している研究者を検索して、followします。そうするとfollowした人がアップしたものを全て読んだり、ダウンロードすることができます。もちろん誰かがこちらをfollowすることも有るわけで、お互いにアップした文章をダウンロードできるということです。

海外の研究者に自分の研究を知ってもらうためには、これまでは別刷を物理的に渡すか、pdfをメールで送るかというのが普通でした。しかしお互いがacademia.eduに登録さえすれば、自分の論文をアップするだけでとりあえず最低限のアピールができます。特にアメリカ、ヨーロッパのチベット学研究者はすでに多くが登録済ですので、チベット学研究者は今後登録必須になりそうです。

このサイトでもう一つ面白いのは、詳細なアクセス結果が分かるところです。自分のページがどの地域から、何時閲覧されたか、どのようなキーワードで検索されたか、などが分かり、結構な励みになります。

2014年3月25日 (火)

「チベット学の最新情報」

去年の日本チベット学会の後、「チベット学情報交換会」という小会合を開きました。その折、会合だけでなくwebでも情報を発信していくべき、と述べました。そのように述べたのではありますが、いざwebで何かしようとすると、結構難しいのですね。で、凝ったことは諦めて、とりあえずblogで始めました。細かいことは後から考えることにしたわけです。blogのタイトルはそのままズバリ


「チベット学の最新情報」


捻りも何もありませんが、今後チベット関係の情報は上のサイトを中心に発信していくつもりです。

2014年2月25日 (火)

Bibliothque nationale de France

一年ぶりにパリとロンドンで敦煌文書の調査をしています。パリの国家図書館(Rechelieu)は長らくの改修中で、外観は一年前と変わらず工事感むき出しでしたが、僕が行く写本閲覧室は様変わりしました。

去年9月に行ったときには、閲覧室は地下にあったのですが、今は2階に移りました。すでに東洋写本室というのはなくなっていて、西洋写本室と合同です。システムも大分と変わりました。ちなみに一日の文書閲覧制限は、以前3点だったのですが今は5点になりました。ちょっと改善されましたね。

中央アジア出土文書はデジタル化がかなりのスピードで進んでいます。大体のことはネット公開されているカラーデジタル写真で事足りるのですが、本物の写本をみると、まだまだ新たな発見があります。発見と言っても小さいことの方が多いのですが、積り重なると大きな意味を持つことがあり、気を抜けません。そういうわけで、何度もヨーロッパまで足を運んで文書をみるのです。

現物をみるのは楽しいですね。1000年以上前の敦煌で、誰が何のために、どんな顔をしてこれを書いたのか。デジタル写真からはなかなかイメージできないのですが、現物を前にすると想像がどんどん膨らみます。パリの図書館で、文書を前にしながら敦煌に思いを馳せ、あれこれ妄想する、まさに至福の時ですな。

2013年11月12日 (火)

中西竜也『中華と対話するイスラーム』

中西竜也さんの御著書『中華と対話するイスラーム:17-19世紀中国ムスリムの思想的営為』(京都大学学術出版会、2013)が第35回サントリー学芸賞を授賞されました!(ココ

中西さん、おめでとうございます。彼と僕とは出身研究室(神戸大学と京都大学の両方!)が同じなのですよ。だからでしょうか、なんだかとても嬉しいのです。

2013年11月 1日 (金)

回顧と展望(お願い)

来年度の『史学雑誌』回顧と展望:中央アジア史(モンゴル以前)の執筆を依頼されました。

現在、鋭意関係出版物を収集しているのですが、大学の図書館ではカヴァーしていない雑誌なども多く、難航しております。関係者の方で今年に出版物がございましたら、ご面倒ですがご一報くださいませんか?ご協力のほど、なにとぞお願いいたします。

2013年9月 5日 (木)

青海調査

8/7からの人民大学滞在に引き続き、8/26からアムド〜カムの調査に来ています。メインは玉樹周辺の古チベット語碑文の調査ですが、西寧とその南部でも寺院調査、景観調査をすることができました。


玉樹周辺の碑文は2006年に調査をしたことがあったのですが、当時は一人で来ていたことと、酷い高山病に悩まされたおかげで、思うように調査が進みませんでした。


今回は、複数人での調査、かつ現地の人々の多大なる協力のおかげで素晴らしいものになりました。ダムディンジョマさんとそのご家族、そしてツェジワンモさんとご家族に大々々感謝です!また、西寧ではソナムドンドゥプ先生には本当にお世話になりました。おまけに、懸念の高山病は、ダイアモックスを事前に準備していたことでほぼ解消!



今回一番嬉しかったのは、Brag lha moと呼ばれる摩崖碑を見ることができたことです。2009年にOld Tibetan Inscriptionsを編集していたときは、出版された写真(しかもあまり写りが良くない)のみを頼りに、目を皿のようにしてうんうんうなりながらテキストを作りました。思った以上に時間がかかり、わずか10行にも満たない碑文に一週間もかかったのですが、それでもあまり満足がいくように仕上がらず、ずっと心残りだったのです。初めて間近に見ることができたとき瞬間は、忘れがたいものになりました。

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もう一つ嬉しかったのが、チームでテキストを解読することの楽しさを知ったということです。碑文の読みにくい一つの文字をめぐって、ああでもないこうでもないとワイワイ皆で議論し協力しながら正解を見つけていくのは本当に幸せなひとときでした。文献学におけるテキスト解読は、基本的に孤独な作業であって、先行研究の粗を探したりしがちなのですが、今回の碑文解読は全くそういう類のものではありませんでした。他の人が正解を見つけても悔しく思うこともなく、むしろ一緒になって喜びをわかちあうことができたのです。

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連日雨続きで、決して良い状況とは言えない中、実りのある調査となりました。大きな成果を挙げることができたのは、本当に皆の協力があってのことだと思います。

2013年8月11日 (日)

人民大学

数日前から北京の人民大学に滞在しています。お招きくださった沈衞栄先生に感謝です。日本も暑いですけど、北京も暑いですねー。今はちょうど夏休みで、学期の端境期にあたり、学生たちも多くは帰郷しています。そういえば昨日、中関村に買い物をかねて行ったら、閑散としていました。やっぱり中関村も学生街みたいなところがあるのかしらん。



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